フリーランスなら知っておくべき下請法のこと

業務委託という形でクライアントから業務を請け負うフリーランスの場合、納品したのに対価が支払われなかったり、あるいはなにかと理由をつけて値切られたりといった不利益をこうむることも。そんなとき、フリーランスを守ってくれるのが下請法という法律です。フリーランスだからと不当な扱いを受けないために、下請法についてしっかりと把握しておきましょう。

下請法とは(公正取引委員会):http://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/index.html

下請法_1

フリーランスを守る下請法①遵守義務

▶下請法の適用範囲

下請法は正式名称を「下請代金支払遅延防止法」といい、1956年に独占禁止法の特別法として制定された法律です。下請法の対象となる取引には、『サービス提供委託』『製造委託』『修理委託』『情報成果物作成委託』の4つがあります。『情報成果物作成委託』はソフトウェアやデザインなどの制作を下請けに委託する取引で、システムエンジニアやデザイナー、ライターなどが対象になります。フリーランスで働く方の多くがここに該当するのではないでしょうか。

この『情報成果物作成委託』の場合、親事業者(クライアント)の資本金が五千万円を超えていれば資本金五千万円以下の下請け業者、親事業者の資本金が一千万円から五千万円のときは資本金一千万円以下の下請け業者が対象となります。フリーランスに資本金は関係ないので、フリーランスの方の場合はクライアントの資本金が一千万円を超えていれば下請法が適用されます。

▶書面の交付義務

親事業者が下請け業者に業務を発注する際は、必ず発注内容を明記した書類を交付しなければいけません。書類に記載する内容は親事業者と下請け業者双方の名称、業務を委託した日付、納期や代金の支払い期日など、かなり詳細に定められています。

▶支払期限を定める義務

親事業者は納品された成果物に対する代金の支払期日を、下請け業者との合意の上で設定しなければいけません。さらにその日付についても、親事業者が成果物を下請け業者から受け取った日から数えて60日以内で、できるだけ短い期間内で定めなければいけないという決まりがあります。

▶書類の作成・保存義務

親事業者は取引に関する内容を記載した書類を作成し、二年間保存しなければいけません。この書類に記載する内容は事業者名や納期などに加え、納品物に対して変更・やり直しをさせた場合はその内容や理由、遅延利息を支払った場合はその金額と支払った日付など、これも細かく規定されています。

▶遅延利息の支払義務

親事業者が代金を期日までに支払わなかった場合、成果物の納品日から60日を超えた日から実際に支払いをする日までの期間の日数に応じて、もともとの代金に年率14.6%を乗じた金額の遅延利息を支払わなければいけません。

フリーランスを守る下請法②禁止事項

親事業者は、以下の11の事項を禁じられています。

▶受領拒否

下請け事業者に責任がある場合を除いて、親事業者は依頼したものが納品された場合にその受け取りを拒否することはできません。

▶下請代金の支払遅延

親事業者は下請け事業者との合意の上で支払期日を設定する義務があり、その期日までに代金の支払いをしなかった場合は下請法違反となります。

▶下請代金の減額

下請け業者に過失がないにもかかわらず、発注時に指定した下請け代金を発注後に減額することはできません。

▶返品

納品されたもの自体に欠陥や不備がないのにもかかわらず、下請け業者から受け取った成果物を返品することはできません。

▶買いたたき

下請け業者に業務を発注するときに、発注する内容に対して通常支払われるべきである対価よりも著しく低い金額を不当に設定することは「買いたたき」として下請け法違反となります。

▶購入・利用強制

正当な理由なく、下請け業者に対して親事業者の指定する製品や原材料、サービスなどを強制的に購入・利用させることはできません。

▶報復措置

親事業者は、下請け業者が親事業者の下請法に違反する行為を公正取引委員会や中小企業庁に知らせたことを理由に、その下請け業者との取引を停止するなどの不利益な取り扱いをすることはできません。

▶有償支給原材料等の対価の早期決済

下請け業者が業務を行う上で必要な原材料などを親事業者が有償で支給している場合に、その代金を下請代金の支払期日よりも先に下請け事業者に払わせたり下請け代金から天引きしたりすることはできません。

▶割引困難な手形の交付

下請け代金を手形で支払う場合、支払期日までに一般の金融機関で換金することが難しい手形を交付すると下請法違反となります。

▶不当な経済上の利益の提供要請

親事業者が下請け事業者に対して、発注書にない内容の業務をやらせたり金銭を払わせたりして利益を不当に害することはできません。

▶不当な給付内容の変更及び不当なやり直し

下請け事業者に過失がないのにもかかわらず、発注の取り消しや内容の変更、または納品後のやり直しなどをさせることはできません。

 下請けかけこみ寺とは?

下請けかけこみ寺は中小企業庁が提供するサービスで、下請けビジネスで発生したトラブル解決のサポートをしてくれます。専門の相談員や弁護士に無料で相談ができるため、クライアントから不当な扱いを受けたと感じたらまず相談してみましょう。

 ▶活用事例①代金未払い

長年にわたって取引をしてきた親事業者で、多少支払いが遅れることはあっても今までは請求通りに支払ってくれていた。しかし今回は何度も催促したが支払いがない。下請けかけこみ寺に相談したところ、親事業者を訪問して支払いがない理由を確認し、今後の支払い計画について話し合ってみてはどうかと助言を受けた。助言通り親事業者を訪問したところ資金繰りの関係で支払えなかったことがわかり、その後無事に代金は支払われた。

 ▶活用事例②代金減額

ある下請事業者は、親事業者から開発試験の一部を依頼された。見積書を出して契約金額を合意した上で、親事業者の仕様書に基づいて試験を行った。その後、試験報告書と請求書を親事業者に提出したが「請求額が高すぎる」と減額を要請された。下請けかけこみ寺に相談したところ、発注後に減額を求めることは下請法違反にあたることを踏まえて親事業者に交渉してはどうかと助言を受けた。助言通り交渉したところ、契約金額通りの支払いを受けることができた。

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会社という後ろ盾を持たないフリーランスという働き方をしていると、クライアントに足元を見られて不利な扱いをされてしまう場合もあるかもしれません。そんなとき「大事なクライアントだから」「仕事をもらえなくなるかもしれないから」と泣き寝入りするのではなく、下請けかけこみ寺に相談してみましょう。

下請けかけこみ寺(中小企業庁):http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/kakekomi.htm