印鑑次第で好印象?フリーランスが用意するべき印鑑とは

企業勤めの会社員と違い、案件の契約や代金の請求をすべて自分で行うフリーランス。自らが代表として書類を取り交わすため、印鑑を使用する機会が非常に多くなります。たかが印鑑されど印鑑、ときには印鑑ひとつでクライアントに与える印象が大きく変わることも?
自分自身が事業主となるフリーランスだからこそ、重視したい印鑑の種類や用途について見てみましょう。

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印鑑の役割と種類

印鑑は主に業務に関わるさまざまな契約書や見積書、発注書に請求書などの書類をクライアントと取り交わす際に使用します。
一口に印鑑といってもその種類はさまざま。個人用とビジネス用の印鑑があり、大きく以下の5つに分類されます。

個人用印鑑

▶認印

役所の申請書や郵便の受け取りなど、日常生活の場面で最も一般的に使われる印鑑。本来は実印登録をしていない印鑑すべてを指します。

▶銀行印

その名の通り、銀行などの金融機関への届出の際に使われる印鑑。銀行届出印、銀行取引印とも言います。

▶実印

印鑑の中で最も重要な印鑑。市区町村に印鑑登録を行った印鑑のことで、法的・社会的な効力を持ちます。

 

ビジネス用印鑑

▶代表者印

屋号と代表者名が彫られた印鑑で、ビジネス用の実印に当たる印鑑です。その形状から
丸印とも呼ばれます。

▶会社印

屋号だけが彫られた印鑑。契約書や請求書などに使われる印鑑で、ビジネス用の認印に
当たる印鑑です。その形状から角印とも呼ばれます。

この他にも、屋号やショップ名、連絡先などがまとめて彫られていて署名代わりに使えるゴム印や、簡単に作成できてPDFなどのデータ上で使える電子印鑑があります。法的な効力を持つのは市区町村に印鑑登録をした実印のみであるため、フリーランスとして開業する際には実印を必ず用意しましょう。
ちなみに、「押印」と「捺印」の違いをご存知でしょうか。ともに「印鑑を押す」という意味を持つ言葉ですが、「押印」は「記名押印」の略で「ゴム印やパソコンで氏名が印刷された書類に印鑑を押すこと」、「捺印」は「署名捺印」の略で「名前をボールペンなどで手書きした書類に印鑑を押すこと」という違いがあります。

本当のところ、印鑑は必要ない?

▶印鑑を押すことは義務ではない

このように印鑑はさまざまな種類があり、それぞれに使い分けられています。フリーランスが仕事をするうえで重要な報酬を受け取るための請求書にも、当然印鑑が押されます。しかし本来、請求書に印鑑は必要ないと言われています。そもそも、契約に対する料金の請求は必ずしも書面で行わなければならないといった規定は法律上のどこにもありません。双方の合意があれば、口頭で請求金額を伝えるだけで十分なのです。そのため、請求書の発行も押印も法律上は不要ということになります。

▶トラブルを避けるためには必要

しかし、口頭で契約を行うということは「契約を行った」という物質的な証拠が残らないということ。請求書は「いつ、誰に、何を納品して、代金をいくらもらったか」ということの物理的な証明となります。さらにその請求書に印鑑を押すということは「間違いなく自分が請求書を発行しました」という証明にもなるため、請求書の信頼度が増します。また請求書に印鑑を押すという行為は日本で長い間行われてきた慣習であるため、印鑑のない請求書は対応しないというクライアントも少なからず存在しています。つまり法律上は必要なくても、予期せぬトラブルを避けたり信頼度を高めたりするためには請求書を発行し、押印したほうが良いということになります。

フリーランスが印鑑を使い分けるメリット

個人で事業を行う上で必要なのは法的効力を持った実印のみですが、ビジネス用の印鑑を使い分けることで生じるフリーランスならではのメリットがあります。

▶社会的信用を得られる

フリーランスとして働く上で大事なのが、クライアントからの信用を得ること。クライアントから堅い信用を得ることができれば、契約が終了しても次の案件に繋がることもあります。前述したように、日本では請求書をはじめとした書類を取り交わす際には必ずその書類にふさわしい印鑑を押すという慣習が根付いたいわば印鑑社会。ビジネスを行う上で、印鑑の使い分けがきちんとできているかどうかでクライアントに与える印象がガラッと変わってしまうのです。

▶印鑑の使い分けができていないと不信感を持たれる恐れも

法的な効力を持つのは市区町村に印鑑登録をした実印のみであるため、わざわざビジネス用に代表者印や会社印を用意する必要は本来ありません。しかしビジネス上の重要な書類である請求書に個人用の実印が押されていた場合、それを受け取ったクライアントは「個人用の印鑑を請求書に使うなんて」と不信感を覚えるかもしれません。会社という後ろ盾がないフリーランスであればなおさら。印鑑を個人用とビジネス用ではっきりと分け、書類に応じて適切な印鑑を使用することでクライアントに良い印象を与えられるのが、フリーランスの方が印鑑を使い分けることの最大のメリットです。

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会社の枠に縛られず自由に事業を行うことができるからこそ、クライアントから信頼を得ることがビジネスにおいて大きな意味を持つフリーランス。
フリーランスの方向けにビジネス用印鑑の作成を行っている業者も数多くあるので、もしビジネス用の印鑑を作っていないのであればこれを機に作ってみてはいかがでしょうか。